なぜ筋トレの後に有酸素運動を行うと、脂肪が効率よく燃えるのでしょうか。その鍵を握るのが、内分泌系(ホルモン)の連動とエネルギー基質の移行プロセスです。
スクワットやベンチプレスなどのヘビートレーニングを行うと、脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、副腎髄質からはノルアドレナリンやアドレナリンが分泌されます。これらのホルモンには、脂肪細胞内に蓄えられている中性脂肪を「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素を介して、エネルギーとして使える「遊離脂肪酸」と「グリセロール」に加水分解する強烈な作用があります。
通常、安静時から軽い有酸素運動を始めた場合、脂肪が優位に燃焼し始めるまでにはある程度の運動継続時間が必要です。しかし、筋トレを先行させておけば、血中にはすでに分解された遊離脂肪酸が豊富に流出しています。そこへウォーキングや軽いバイク運動などの有酸素運動を組み合わせることで、解き放たれた遊離脂肪酸がミトコンドリアへと次々に運び込まれ、速やかに酸化・消費されます。
さらに、高強度トレーニング後には「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」と呼ばれる代謝ブーストが発生します。運動を終えた後も数時間から最大24時間程度にわたり、傷ついた筋繊維の修復や体内環境の回復のために酸素消費量と基礎代謝が底上げされる現象です。筋トレで代謝の火種を大きく燃え上がらせた状態で有酸素運動を重ねることこそが、脂肪燃焼を最大化させる生理学的根拠です。