日本の大衆において、ウーマンリブが長い間ネガティブなイメージで語られてきた最大の要因は、当時の週刊誌やテレビワイドショーによるセンセーショナリズムにある。
メディアは彼女たちの主張の本質を報じることなく、「ヒステリーを起こした女たち」「結婚できない女の逆恨み」といった悪意あるアングルで消費した。アメリカのミス・コンテスト会場で起きたとされる「ブラジャーを燃やした」という事実無根の誇張エピソードがそのまま輸入され、日本でも「ブラジャーを外してノーブラで歩く破廉恥な運動」として矮小化された。
さらに、彼女たちが「月経」「マスターベーション」「オーガズム」「中絶」といった女性の性器やセクシュアリティに関するテーマを公然と議論したことが、当時の保守的な道徳観を持った日本社会に強烈な拒絶反応を引き起こした。自らの性を語ることは「はしたない」とされた時代において、身体の主権を主張する行為そのものが「過激」と見なされたのである。
しかし、当時の活動記録を精査すると、彼女たちが叫んでいたのは「男性への憎悪」ではなく、「男性優位の社会システムに無自覚に従属させられる構造への反逆」であったことが明確に読み取れる。敵は個々の男性ではなく、男女の双方を抑圧する家父長制の枠組みそのものだったのだ。