新生児期から乳児期にかけて、赤ちゃんの筋肉は通常、適度な抵抗感と張りを持っています。これに対して、抱き上げた際に脇の下から身体がそのまま抜け落ちそうになる感覚(スリップスルー兆候)があったり、抱っこしても親の体にフィットせず、ぐにゃりと垂れ下がるような感覚を覚えたりする場合、医学的には筋緊張低下症が疑われます。かつて臨床現場では、布製の人形のように手足がだらりと脱力している様子からフロッピーインファントと総称されてきました。
小児臨床の現場では、低緊張の赤ちゃんに見られる特徴として以下の兆候が確認されます。
仰向けに寝かせた際に両膝が外側に完全に開き、太ももがベッドへ平らに密着する「カエル足(フロッグレッグ位)」をとり続けることや、足首や手首の関節が異常な角度まで曲がるといった関節の過可動性が代表的です。また、手首を持って優しく引き起こそうとした際、頭部が体幹についてこずに後方へ完全に倒れ込んだままになる「ヘッドラグ」も重要な指標となります。
注意したいのは、低緊張は「筋力そのものが完全に消失している麻痺」とは異なる点です。筋力(自発的に物を押したり蹴ったりする力)が保たれていても、無意識下で体を支えるベースとなる「張り」が不足しているため、重力に抗して姿勢を保持することが著しく困難になります。その結果、日常動作の安定性が損なわれ、本人も無意識のうちに姿勢を支えるため過剰なエネルギーを消耗してしまいます。