北野映画における寺島進の存在感を決定づけたのが、1993年の傑作『ソナチネ』だ。沖縄の青い海と空の下、死と隣り合わせのヤクザたちが子供のように無邪気に遊ぶ。その中で寺島が見せた表情は、今も邦画史に残る名シーンとして語り継がれている。
アロハシャツを羽織り、無邪気に笑った直後、冷徹な目で引き金を引く。その二面性。単なる「怖いヤクザ」ではなく、どこか哀愁を帯び、死の匂いを漂わせる男の「色気」がそこにはあった。この作品での演技により、彼は国内外の映画関係者から「北野映画に欠かせないミューズ(男神)」として認知されるようになる。