「ふるさと納税はすべてワンストップ特例で申請書を郵送したから、医療費控除の分だけを確定申告すればいい」――そう信じ込んで申告書を提出した結果、翌年6月に届いた住民税決定通知書を見て愕然とする納税者が毎年続出しています。結論から言えば、確定申告書を提出した時点で、それ以前に自治体へ提出していたすべてのワンストップ特例申請は法的に無効になります。
これは地方税法附則第7条に明確に定められている規定です。ワンストップ特例は「確定申告を行わない給与所得者」を救済するために設けられた特例措置に過ぎません。そのため、たとえ医療費控除の1項目だけを目的に確定申告書を国税当局へ受理させたとしても、法的手続きの優先順位として確定申告の内容がすべてに優先し、ワンストップ特例の申請データは地方自治体の税務システム上で自動破棄されます。
もし確定申告書の「寄附金控除」欄にふるさと納税の金額を記載し直さなかった場合、寄付した事実は税務上完全に無視されます。本来であれば2,000円の自己負担を除いた全額が控除されるはずが、何万円、何十万円もの寄付金が「見返りの返礼品を受け取っただけの単なる全額自己負担寄付」へとすり替わってしまうのです。
また、ネット上の一部で囁かれる「医療費控除とふるさと納税の二重取りで税金が2倍浮く」という言説も悪質な誤認です。これらは異なる税額計算レイヤーで所得から差し引かれるものであり、併用によって相乗効果が生まれるわけではありません。むしろ後述するように、医療費控除を使うことでふるさと納税の上限枠が削られる相互干渉関係にあるのが税制の実態です。