実は、日本の法律や規格においても、この2つの区別は意外と曖昧だ。日本農林規格(JAS)や公正取引委員会などのガイドラインを見ても、「唐揚げ」と「竜田揚げ」を明確に分ける厳密な法定義は存在しない。一般的には「鶏のから揚げ」として一括りにされることが多く、パッケージ表記はメーカーの自主基準に委ねられているのが現状だ。
この曖昧さが、食品業界における商品開発の自由度を高める一方で、消費者の混乱を招く原因にもなっている。「竜田揚げ風唐揚げ」といった、どちらとも取れる商品名が店頭に並ぶのはこのためだ。しかし、このグレーゾーンこそが、日本の揚げ物文化をここまで豊かに、そして多様に進化させた原動力であるとも言えるだろう。