脱毛を受けているにもかかわらず毛が太くなる現象は、医学界では「逆説的発毛(Paradoxical Hypertrichosis)」と呼ばれています。本来であれば毛母細胞やバルジ領域の幹細胞を熱破壊して脱毛を促すはずのエネルギーが、メラニン色素の少ない細い毛に対して中途半端な温度上昇しか与えられず、皮下組織の血流増加や組織修復シグナル(サイトカインの放出)を引き起こし、毛根を刺激して太い毛へと成長させてしまうことが決定的な原因です。
「一度硬毛化してしまったら二度と治らないのではないか」と絶望する利用者は少なくありません。しかし、日本美容皮膚科学会などの臨床報告や各医療機関の追跡調査によると、硬毛化が最終的に改善・減毛する確率は70%〜90%前後に達することが実証されています。適切な波長変更や照射密度の調整を行えば、休眠から目覚めてメラニン色素を豊富に含むようになった太い毛は、むしろレーザーの標的として破壊しやすくなるからです。
問題となるのは、硬毛化を自覚した段階での初期対応です。焦って同じ低出力の機器で照射を漫然と繰り返すと、活性化した毛根をいたずらに刺激し続ける悪循環に陥ります。毛周期と皮膚深部の毛包深度を正確に見極める医師の診断力こそが、生還率を大きく左右します。