ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「遠方から来てくれる叔父や従兄弟にお車代を用意しなかったら非常識と怒られた」「逆に渡そうとしたら突き返された」という正反対の悩みが飛び交っています。新郎新婦を最も悩ませるこの疑問に対し、ウェディング業界の現場取材や実態データから導き出される答えは明確です。親族へのお車代は、「渡さない=即座に非常識」とは限らないという点にあります。
一般ゲストと異なり、親族間には長年培われてきた「家ごとの慣習」が存在します。親族へのお車代を「なし」とする判断が成立する背景には、主に3つの客観的な理由が存在します。
第1の理由は、親族間で定着している「お互い様の協定」です。「お車代や宿泊費はお互いに出し合わない」「その代わり、包むご祝儀の額や交通費はお互い自己負担で完結させる」という暗黙の了解が、過去の冠婚葬祭を通じて代々結ばれている家系が少なくありません。この取り決めがある場合、良かれと思ってお車代を渡すと、相手の親族から「水臭い」「これまでのルールを破られた」と受け取られてしまうことすらあります。
第2の理由は、「親が窓口となって別途精算しているケース」です。新郎新婦の目の前でお車代のやり取りがなくても、裏側で両親が交通費や宿泊先を手配・全額決済していたり、式後に個別で挨拶に赴き御礼を届けていたりすることが多々あります。新郎新婦の財布から出ないだけで、家計単位では手当てが完了している構図です。
第3の理由は、「宿泊費の全額負担とのバーター(相殺)」です。近年の宿泊相場高騰を受け、「新幹線代は各自で負担してもらう代わりに、ホテル代は新郎新婦側が提携優待で手配・全額支払いする」という折衷案が一般化しています。親族側も事前に合意していれば、現地でのお車代現金支給がなくても失礼にはあたりません。