目を開ける際、人間はまぶたの奥深くにある上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)という筋肉を収縮させています。この筋肉の先端には「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」と呼ばれる腱があり、軟骨のような硬さを持つ「瞼板(けんばん)」に結合しています。これが上まぶたを引き上げる基本的な構造です。
では、一重と二重の構造の違いはどこで生じるのでしょうか。決定的な要因は、挙筋腱膜の先端が枝分かれして「まぶたの皮膚の裏側」に結合しているか否かにあります。
二重まぶたの場合、挙筋腱膜の枝(線維組織)が瞼板だけでなく、まぶたの表層の皮膚にまで届いてしっかりと癒着しています。そのため、上眼瞼挙筋が収縮して目を開けると、瞼板が引き上げられると同時に皮膚も一緒に奥へと引き込まれ、皮膚が折りたたまれて「二重の溝(ひだ)」が形成されます。一方で、一重まぶたの人はこの枝分かれが皮膚に結合していないか、結合組織が極めて脆弱です。上眼瞼挙筋が収縮しても皮膚が引き込まれず、まぶた全体が板のように持ち上がるため、溝ができません。
さらに、まぶたの脂肪と皮膚の厚みも目元の印象を大きく左右します。上まぶたには眼球を取り囲む「眼窩脂肪(がんかしぼう)」と、眉毛の下から広がる「ROOF(眼輪筋下脂肪組織)」という2種類の脂肪層が存在します。東洋人のまぶたはこれらの脂肪が発達しており、皮下組織や皮膚そのものも厚い傾向があります。皮下脂肪が厚く皮膚が硬い場合、たとえ腱膜の枝分かれが存在していても皮膚が奥へ綺麗に折れ曲がらず、表面にラインが出にくいという物理的な制約が加わります。