氷点下の環境は、鉛バッテリーにとって天敵以外の何物でもない。内部の電解液の反応が極端に鈍化し、本来の蓄電能力が大きく削ぎ落とされるからだ。2026年に入り、全国各地で最低気温の更新が相次ぐ中、車検を通したばかりの比較的新しい車両であっても、ある朝突然セルモーターが沈黙するトラブルが相次いだ。
特に夜間のサービスエリアや雪道の路肩では、暖房やシートヒーター、各種ドライブレコーダーによる電飾負荷がバッテリーの限界値を易々と突破する。凍える車内で救援を待ち続けるのは低体温症のリスクと隣り合わせだ。そうした極限状態で、古典的な脱出策としての「押しがけ」が選択肢として頭をよぎるのは、ごく自然な心理と言える。