一事不再理とは?無罪確定後の自白や例外、憲法39条の真相を徹底解説

一事不再理とは?無罪確定後の自白や例外、憲法39条の真相を徹底解説

一事不再理とは?無罪確定後の自白や例外、憲法39条の真相を徹底解説に関する主要な事実を丁寧にまとめました。詳細な解説をご覧ください。

冒頭の核心的な疑問に戻りましょう。世間を震撼させた凶悪事件で無罪判決が確定した被告人が、数日後に「実は自分が殺害した。警察も検察も見抜けなかった」と手記を出版し、テレビカメラの前で犯行の詳細を自白したとします。さらに凶器や被害者の私物など、動かぬ物証まで自ら提出した場合、日本の警察や検察は彼を再逮捕できるのでしょうか。

結論から申し上げれば、刑事裁判で有罪にして刑務所へ送ることは100%不可能です。

たとえ検察官が新証拠を手に「新たな事実が発覚した」と裁判所に再起訴状を提出したとしても、裁判官は事件の実体(本当に人を殺したのかどうか)を審理することすら許されません。刑事訴訟法第337条1号に基づき、審理を門前払いする「免訴(めんそ)判決」を機械的に下す義務があるからです。免訴とは、実体的な審理に入ることなく裁判を即座に打ち切る終局裁判を指します。

「ならば、法廷で嘘をついた罪(偽証罪)で逮捕すればよいのではないか」と考える方も少なくありません。しかし、偽証罪(刑法第169条)は「法律により宣誓した証人」にのみ適用される犯罪です。刑事裁判における被告人は、憲法第38条によって「自己に不利益な供述を強要されない権利(黙秘権)」が完全に保障されています。被告人は証人として宣誓すること自体がないため、法廷でどれほど平然と嘘をついても偽証罪は成立しません。

直感的な倫理観からすれば、これほど受け入れがたい結末はないでしょう。SNS上でも凶悪事件の無罪判決が出るたびに、「犯行を後から認めたら逃げ得になるのか」「被害者遺族の心情を無視している」という激しい怒りの声が上がります。しかし、司法はこの「理不尽」を承知の上で、意図的にこの制度を維持しているのです。

理由は極めて明快です。もし「新証拠が出れば無罪判決を取り消して再起訴できる」という例外を一度でも認めてしまえば、国家権力は自らが望む有罪判決が出るまで、無実の市民を何度でも起訴し、拘束し、精神的・経済的に破滅させることが可能になってしまうからです。かつての歴史において、専制君主や独裁権力はまさにこの手口で政敵を葬り去ってきました。「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜(罪なき人)を罰するなかれ」という近代刑法の根本思想が、感情的な処罰欲求よりも優先されている証拠といえます。

山本 拓海
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山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。