臨終の直後は誰もが平常心を失いがちです。事前に正しい進行順序と道具の扱い方を頭に入れておくことで、落ち着いて故人との対話の時間を過ごすことができます。
死に水をとる順番:血縁の濃い者から順に行う
死に水は誰がとるべきかという問いに対しては、「故人と血縁関係が最も深い者から順に行う」のが伝統的な作法です。具体的な順列は以下の通りとなります。
- 喪主(配偶者など)
- 実子(長男・長女から年齢順など)
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹
- 子の配偶者(嫁・婿)
- 孫・ひ孫
- その他の親族・親しい友人
ただし、この血縁序列は厳格なルールに縛られる必要はありません。実際の看取りの場では、生前の介護に最も献身的に関わった人や、故人が最も会いたがっていた人を優先するなど、家族間の関係性に応じた柔軟な配慮が現場の看護師や葬祭ディレクターからも推奨されています。
死に水の道具と脱脂綿の使い方
伝統的な道具としては、少量の水を入れた茶碗(または小桶)と、新しい割り箸の先端に脱脂綿やガーゼを巻き付け、白い木綿糸で縛った専用の筆のような道具を用います。地域によっては樒(しきみ)の葉や鳥の羽根、筆を使用する場合もあります。一方、現代の医療現場では衛生管理の観点から、看護師が個包装された医療用の綿棒(口腔ケア用スポンジブラシ)を用意してくれるケースが大半です。
【正しい死に水のやり方】
- 道具の先端(脱脂綿やスポンジ)を水椀に浸し、しっかりと水分を含ませます。
- 最も重要な注意点として、水滴が垂れないよう椀の縁で十分に水気を絞ります。水分が多すぎると、故人の気道に水が入ったり、口元から流れ出して衣服を汚したりする原因になります。
- 故人の枕元に正座または寄り添い、故人に優しく一礼します。
- 故人の唇を潤すように、「左から右へ」軽く当てる程度に優しくなぞります。口をこじ開けて中に水を入れる必要はありません。
- 故人に心の中で、あるいは声に出して最後の感謝や労いの言葉をかけ、一礼して次の親族へ交代します。