かつて、睡眠は単なる「脳の休息時間」と考えられていた。だが、現在の脳科学はその認識を完全に覆している。睡眠中、特に深いノンレム睡眠のあいだに、脳は日中に得た膨大な情報を整理・統合し、不要な記憶を消去して必要な記憶を定着させる作業を行っているのだ。さらに、脳内の老廃物を排出する「グリンパティックシステム」が最も活発に働くのもこの時間帯である。つまり、寝不足の子どもの脳は、ゴミが溜まったゴミ箱のような状態のまま翌朝を迎えていることになる。
成長ホルモンの分泌も、深い睡眠の初期段階に集中する。骨や筋肉の発達だけでなく、免疫力の向上や傷ついた細胞の修復もこのタイミングで行われる。「寝ることは、心身のOSをアップデートする作業そのものだ」と、専門家は指摘する。