パイロットへの登竜門である航大ですが、その門扉をくぐるための条件は厳密に規定されています。最新の航空大学校募集要項によると、受験資格には学歴要件と年齢制限が存在します。
学歴要件としては、大学(4年制)に2年以上在学し、所定の単位(62単位以上)を修得済みまたは修得見込みの者、あるいは短期大学や高等専門学校を卒業した者が対象となります。大学在学中(2年次修了見込み)から受験できるため、大学を休学または中退して航大へ進学するルートが一般的です。年齢制限は例年25歳前後を上限として設定されており、一般企業のキャリア採用とは異なる年齢のハードルが存在します。
選考プロセスは3段階に分かれており、各ステージで異なる資質が試されます。
第1次試験は学力考査(総合、英語、数学・物理等の基礎的教養)です。出題範囲は大学教養レベルおよび高校卒業レベルですが、単なる暗記ではなく論理的思考力と数的処理のスピードが問われます。
最大の関門として恐れられるのが、第2次試験で実施される航空身体検査基準に基づくメディカルチェックです。国土交通省令が定める「第一種航空身体検査」に準拠し、視覚(遠見視力、屈折度、眼圧、深視力、視野、眼底など)、聴力、平衡機能、脳波、呼吸器、循環器系が徹底的に検査されます。「普段の健康診断でオールAだから大丈夫」と高をくくっていた受験生が、自覚症状のない隠れた疾患や眼球の微細な構造的要因によって不合格となるケースが後を絶ちません。
第3次試験では、フライトシミュレーター等を用いた操縦適性検査および個別面接が行われます。操縦桿を握った経験がない受験生に対し、短時間のインストラクションで指示を理解し、修正操作を素早く実行できる「適応力と認知的柔軟性」が厳しく評価されます。
こうした多層的な選抜を勝ち抜くため、近年では大学卒業後にアルバイトや予備校通いをしながら挑戦を続ける「パイロット就職浪人」も珍しくありません。ただし、航大の受験可能年齢には明確なリミットがあるため、浪人できる回数はおのずと2回から3回程度に制限されるのが現実です。