結論から述べると、カモノハシは鳥類でも爬虫類でもなく、正真正銘の哺乳類(ほにゅうるい)に分類されます。学術的な分類体系における正確な位置づけは以下の通りです。
動物界 > 脊索動物門 > 脊椎動物亜門 > 哺乳綱 > 単孔目(たんこうもく) > カモノハシ科 > カモノハシ属(学名:Ornithorhynchus anatinus)。
世間一般で「鳥類や爬虫類の仲間ではないか」と誤解される最大の要因は、哺乳類でありながら卵を産んで子孫を残す「卵生」である点と、排泄腔と生殖孔が一つに統合された総排泄孔(クロアカ)を持つ点にあります。学名である「単孔目(Monotremata)」の語源も、ギリシャ語の「単一の穴(monos trema)」に由来しており、この構造自体は鳥類やトカゲなどの爬虫類と共通しています。
しかし、生物学において生物が哺乳類であると定義される絶対的な条件は、「胎生(胎盤で育てること)」だけではありません。カモノハシが哺乳類に分類される理由は、主に以下の3点に集約されます。
第一に、乳腺から分泌される母乳によって子を育てる点です。後述するように乳首はありませんが、分泌された母乳を子が摂取して成長する生態は、哺乳類(Mammalia:ラテン語で乳房を意味するmammaが語源)の根本的な定義を満たしています。
第二に、全身を密生した体毛で覆われている点です。カモノハシの毛皮は1平方ミリメートルあたり約600〜900本という極めて高い密度を誇り、冷たい水中に長時間潜っても皮膚が直接濡れない二重構造になっています。羽毛やウロコではなく、ケラチンでできた真の体毛を持つことは哺乳類の特権です。
第三に、音を感知する中耳に「ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨」という3つの耳小骨が完全に備わっている骨格的証拠です。爬虫類や鳥類の中耳骨は1本(アブミ骨のみ)しかありません。顎の関節を構成していた骨が進化の過程で耳の奥へと移行し、聴覚器として機能している構造は、哺乳綱だけに共通する決定的な身体的痕跡です。