2026年代半ばから続く世界的な豚肉価格の跳ね上がりと米の流通コスト増加は、地方の個人経営店や小規模チェーンに深刻な打撃を与えた。当然、千葉のロードサイドに佇むこの老舗も例外ではない。価格改定を余儀なくされる局面は何度か訪れたが、同店が徹底したのは「クオリティを決して落とさない」という頑なな姿勢だった。
肉の厚みを薄くしたり、タレの質を変えたりしてコストを合わせる選択肢もあったはずだ。しかし、現場の職人たちは「チャー弁の肉が薄くなったら、それはもう『としまや』ではない」と拒んだ。結果として、わずかな価格調整はあったものの、変わらぬボリューム感と圧倒的な満足感を維持。このブレない姿勢こそが、物価高に嫌気が差していた消費者の信頼をさらに強固なものにしたのである。