SNSやネット掲示板、現役技師へのヒアリング取材を通じて見えてきた現場の実情は、一筋縄ではいかない複雑な陰影を帯びています。
都内の民間総合病院に勤務する30代前半の男性技師は、自らの給与明細を前に次のように吐露します。
「夜間当直を月3回こなして、額面は31万円、手取りにすると24万円ほどです。当直中は救急患者の緊急輸血や心電図で一睡もできない夜もありますが、当直手当は1回わずか6,000円。責任の重さと拘束時間を考えると、コンビニの深夜バイトの方が割が良いのではないかと虚しくなる瞬間があります。将来設計を考えると、結婚や子育てに踏み切るのを躊躇してしまうのが本音です」
一方で、健診専門クリニックへ転職した30代後半の女性技師からは、まったく異なるトーンの声が聞かれます。
「前職の総合病院時代は年収430万円で夜勤と呼び出しに追われていましたが、腹部と乳腺のエコー資格を武器に健診センターへ移りました。年収は450万円と微増ですが、土日祝は完全休みで残業は月5時間以下。夕方5時半には退勤できるため、子育てと無理なく両立できています。夜勤なしでこの給与なら、むしろ精神的なコストパフォーマンスは極めて高いと感じています」
ネット上で囁かれる「臨床検査技師オワコン説」は一面的に過ぎます。ルーティンの検体検査や当直に縛られる環境では疲弊感が強まりやすい一方、需要の高い生理検査スキルを身につけ、就労条件の整った施設を選択した技師は、給与額以上のワークライフバランスと満足度を手に入れています。