市川染五郎は、常に大きな期待を背負って生きてきた。しかし、近年の彼はその重圧を完全に自身のエネルギーへと変換しているように見える。古典歌舞伎での凛とした佇まいはもちろん、現代劇やファッション界で見せる鋭い感性は、同世代の表現者の中でも群を抜いている。
今回の挑戦について、彼は周囲に「守るべきものは守るが、壊すべきものは容赦なく壊す」と語ったという。大先輩であり、叔母でもある寺島しのぶという巨大な壁に立ち向かうことで、染五郎はさらなる覚悟を手に入れようとしている。彼の瞳の奥にある静かな闘志は、すでに燃え上がっている。