演劇や映画において、身体のサイズ感はコントロール可能だと言われるが、それを体現できる役者は少ない。染谷将太の卓越している点は、重心の置き方にある。彼が演じるキャラクターが怒りや狂気を孕むとき、その重心は極めて低く、かつ前にせり出す。これにより、観客の視覚には彼のシルエットが横に広く、そして前に大きく迫り出して映るのだ。
また、彼のなで肩と長い首も、スクリーン映えする重要な要素だ。クラシカルな映画の黄金期に活躍した名優たちのように、フレーム内での収まりが良く、かつ光と影のコントラストを最も効果的に受け止める骨格を持っている。これが、彼を単なる「172センチの俳優」に留まらせないフィジカルな強みである。