ウェブ上の解説記事で頻繁に見受けられる誤解が、「To-beは実現可能性を考慮して現実的に設定すべきだ」という言説です。一見もっともらしく聞こえますが、これはフレームワークの破壊につながる危険な認識と言わざるを得ません。
実現可能性を織り込んだ計画は、To-beではなくCan-be(現在のリソースで可能な姿)に過ぎません。最初から「できる範囲」を目標に据えてしまうと、既存の組織体制や予算配分の枠組みから一歩も出ることができず、真のイノベーションは潰え去ります。To-beはあくまで「制約を取り払った純粋なあるべき姿」として設定し、現実的な制約とのすり合わせはステップ4の「ロードマップ策定フェーズ」で行うのが鉄則です。
また、「As-is分析からスタートすべきか、To-be策定からスタートすべきか」という論争も存在します。変化が緩やかだった時代はAs-isの改善で通用しましたが、デジタルディスラプションが常態化した環境下では、To-be先行(バックキャスティング型)で進めなければ、過去の延長線上に囚われた矮小な改善で終わってしまいます。