「爪を立ててもびくともしない」「隙間すら見当たらない」という事態に陥る最大の要因は、近年の保護パーツに採用されている高密着型感圧アクリル粘着剤と、iPhoneカメラモジュールの段差構造にあります。
iPhoneのカメラ周囲はわずかな突起(カメラバンプ)を形成しており、レンズカバーはこの段差に隙間なくフィットするよう極薄の粘着層(0.05〜0.1mm厚)で圧着されています。この粘着層は外気との接触を遮断することで密閉状態(バキューム効果)を生み出し、時間経過とともに接着力が増す性質を持ちます。そのため、垂直方向に引っ張る力に対しては数kg単位の耐荷重を発揮し、指力だけで引き剥がすことは構造上ほぼ不可能です。
さらに、100円ショップのダイソーなどで展開される個別リング型カバーや全面吸着プレートは、コスト削減と脱落防止の観点から粘着力が極めて強く設定されているケースが少なくありません。修理専門店の技術スタッフへの取材でも、「カバーを自力で外そうとしてアルミフレームごと歪ませて持ち込まれる相談が年間数百件に上る」と明かされており、無理な力技が最悪の故障を引き起こす根本原因となっています。