「悪魔崇拝」という概念自体が、実は比較的新しいものだ。中世ヨーロッパの魔女狩りや、19世紀のオカルティズム復興を経て、20世紀の大衆文化の中で形作られたイメージが強い。有名人がこのレッテルを貼られるようになったのは、特に1960年代以降のカウンターカルチャーとロック音楽の隆盛がきっかけだ。
当時、若者文化は既存の社会規範や宗教的価値観に挑戦していた。長髪の男性、過激な服装、実験的な音楽——これらは保守的な社会から「悪魔的」と見なされることがあった。しかし、実際にはほとんどのアーティストは、単に芸術的自由を追求していたに過ぎない。
ロック音楽と「悪魔の音楽」神話
ロックンロールが「悪魔の音楽」と呼ばれた時代があった。1950年代、エルヴィス・プレスリーの腰の動きは「退廃的」と非難された。しかし、本当に悪魔崇拝と結びつけられた最初の大物は、ローリング・ストーンズだろう。
1969年のアルタモント・フリーコンサートでの悲劇的な事件や、ミック・ジャガーのステージ上の「悪魔的」なパフォーマンスは、多くの憶測を呼んだ。しかし、これらはあくまでショービジネスの一部であり、実際の宗教的信仰とは無関係だった。
最も有名な事例の一つが、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジだ。彼はオカルティストのアレイスター・クロウリーに深い関心を持ち、クロウリーの元邸宅を購入したことでも知られる。しかし、ペイジ自身は「悪魔崇拝者」ではなく、クロウリーの哲学や思想に興味を持った知識人としての側面が強い。