高額取引される10円玉を識別する第一歩は「製造年(年号)」の確認である。造幣局の製造計画に基づき、年度ごとに発行枚数は大きく変動している。
ギザ十の中でも圧倒的な王座に君臨するのが昭和33年製だ。この昭和33年10円玉の価値の理由は、極端な発行枚数の少なさにある。ギザ十の製造最終年となった昭和33年の発行枚数はわずか約2,500万枚(25,932,000枚)にとどまり、ピーク時である昭和29年の約5億2,000万枚と比較すると約20分の1にすぎない。流通市場で激しく摩耗したため、状態の良い個体が極めて少ないことも価格高騰に拍車をかけている。
次に注目されるのが昭和32年の10円玉だ。昭和32年10円玉の発行枚数は約5,000万枚(50,000,000枚)で、昭和33年に次いで少ない。流通品であっても数十円から百円程度、未使用品であれば数千円から1万円前後の取引事例が確認されている。
一方で、近年ネット上で話題となる平成31年・令和元年の10円玉の希少価値については、冷静な見極めが必要だ。2019年の改元に伴い、平成31年銘は4月まで、令和元年銘は5月以降に製造されたため、「流通期間が短くレアなのでは」と期待された。しかし、造幣局の公式データによると、平成31年の発行枚数は約1億9,700万枚、令和元年は約1億3,700万枚に達している。数千万枚単位で市場に供給されているため、通常流通品が額面以上の数千円に化ける可能性は極めて低く、基本的には未使用のミントセットや特製ケース入りのみ数十円〜数百円の上乗せにとどまる。