髄液の流出路が遮断された結果として引き起こされるのが閉塞性水頭症(非交通性水頭症)です。第四脳室に関連する水頭症の発症メカニズムを正確に診断するうえで、脳神経外科医が最も注視するのが「どの部位で閉塞が起きているか」という構造的差異です。
例えば、代表的な疾患である中脳水道狭窄症においては、第四脳室の上流にあたる中脳水道が詰まります。この場合、側脳室と第三脳室は風船のようにパンパンに膨らみ拡大しますが、第四脳室への流入が途絶えるため、画像診断上、第四脳室は虚脱して小さくなるか、正常な大きさを保ちます。一方で、第四脳室そのものの出口(マジャンディ孔・ルシュカ孔)が塞がれた場合や、小児期にみられるダンディ・ウォーカー症候群、成人のクモ膜下出血後の癒着などでは、第四脳室内部に髄液が充満し、第四脳室そのものが異常に拡大します。
以下の比較表は、第四脳室周辺に発生する代表的な病態と臨床的特徴、および医療現場における指標をまとめた客観データです。
このように、第四脳室が拡大する理由は単一ではありません。孔自体の器質的狭窄のみならず、シャント術後に生じる「孤立性第四脳室(Trapped Fourth Ventricle)」のように、医原性の圧力不均衡によって第四脳室が独立した嚢胞のように膨張し、脳幹を直接すり潰すように圧迫する極めて危険な病態も存在します。