現場の実態をさらに深く探るため、大手美容専門学校の通信課程を修了し、30代で異業種から美容師免許を取得した2名の手記とインタビューを検証しました。
都内のIT企業に勤めながらアイラッシュサロンへの転職を果たした女性(32歳)は、当時の苦闘をこう述懐しています。「平日の夜、仕事で疲労困憊した後にウィッグを取り出し、1回20分計ってワインディングを巻く作業は精神修行に近かった。家族がいるリビングには髪の毛が落ちるため、洗面所にクランプを固定して毎晩立っていた。同期の中には、スクーリングの日程調整がつかなくなって2年目の夏に音信不通になった人もいた」。
一方、地方都市で営業職を続けながら訪問美容の起業を見据えて合格した男性(38歳)は、違った側面を強調します。「スクーリングの教室には、10代のサロンアシスタントから40代の主婦まで幅広い世代が集まっていた。社会人経験者は『自分でお金を払って学びに来ている』という覚悟が違う。講師への質問の質も高く、理容師美容師試験研修センターの審査基準を逆算して効率的に動いていた人は全員一発で受かっていた」。
現場のリアルな証言から浮き彫りになるのは、通信制における最大の敵は技術の難易度そのものではなく、「生活リズムの中に練習ルーティンを組み込めるか」という自己管理の冷徹さです。