一見どれも同じに見える環状ネジだが、実物をルーペで拡大するとその工作精度には雲泥の差がある。リングの継ぎ目が完全に溶接されて隙間がないか。ネジ山のピッチが均一で、木材や樹脂をスムーズに押し広げていくか。このわずかな違いが、引張強度の劇的な差となって現れる。
新潟県三条市や大阪府東大阪市などの町工場が手がける高精度金具は、海外製の安価な大量生産品に押されていた時期もあった。だが、作品の脱落事故を恐れる作家層が「国産の高精度パーツ」へと回帰している。リングの継ぎ目が開いて大切なチャームが路上に落下する悲劇を、作家もファンも二度と経験したくないからだ。手触りだけで品質を見抜く熱心なバイヤーが、問屋の店頭で指先を研ぎ澄ませている。