興味深い現象が起きている。ストリーミングプラットフォームの国内バイラルチャートにおいて、1999年にリリースされた『朝がまた来る』が、20代から30代前半のリスナー層を中心に異例のリバイバルを記録しているのだ。
SNS上では、夜勤明けの薄暗い駅のホームや、誰もいない早朝の自室の天井を映したショート動画のBGMとして、この曲のイントロが頻繁に使用されている。なぜ、生まれる前あるいは幼少期の楽曲が、デジタルネイティブ世代の琴線に触れるのか。
「今のポップスに多い『君ならできる』『明日はきっと晴れる』といった無責任な全肯定が、かえって毒に感じられる夜がある」。そう語るのは、深夜のデータセンターで働く24歳のシステム運用者だ。「吉田美和のボーカルは、傷を治してはくれない。ただ、夜の重さと、望もうが望むまいが無情にやってくる朝の冷たさを、そのまま歌い上げている。それが一番リアルで救われる」。