神社名にある「うとう」という聞き慣れない響き。それはかつて北の海辺に生息していた海鳥「善知鳥」に由来する。親鳥が「うとう」と鳴けば、雛が「やすかた」と応えるという独特の生態伝承があり、この切ない鳴き交わしは現在の鎮座地である「安方(やすかた)」の町名として今も息づいている。
この鳥を巡る物語は、室町時代の劇作家・世阿弥によって能楽の傑作『善知鳥』へと昇華された。猟師が善知鳥の雛を獲るために親鳥の鳴き声を真似て誘い出し、殺生を重ねた罪によって地獄の責め苦に遭うという、苛烈で物悲しい物語だ。境内にある「うとう塚」の前に立つと、自然の命を奪って生きざるを得ない人間の業と、それを鎮めようとした古代人の切実な祈りが、冷たい風の音とともに胸に迫ってくる。