明石海峡大橋(神戸淡路鳴門自動車道・垂水IC〜淡路IC間)を利用する際、最大の衝撃となるのが支払い手段による料金の乖離です。普通車の場合、現金で支払うと片道3,140円を請求されますが、ETC車載器にカードを挿入して通過するだけで片道910円まで一気に値下がりします。実に2,230円もの差額が、1往復するだけで4,460円の開きとなってドライバーの財布を直撃します。
なぜこれほど露骨な価格差が放置されているのか。その背景には、国と自治体が主導してきた「本州四国連絡高速道路割引制度」と政策的な交通誘導があります。本来、明石海峡大橋の通行料金は、総工費約5,000億円にのぼる巨額の建設費と海峡部特有の膨大な維持管理費を償還するため、割高な普通区間料金(基本料金)として設計されました。
しかし、高額な通行料は淡路島および四国地方の地域振興と物流の深刻な足かせとなっていました。そこで国土交通省と関係自治体は、ETC車限定で巨額の公的資金(財政投融資や補助金)を投入し、大幅な引き下げを実現した経緯があります。現金車に対する割引除外は、料金所での人件費抑制とETC利用率100%を目指す強いインセンティブ設計であり、意図的に作られた制度的格差なのです。