長山藍子の名をお茶の間に完全に定着させたのは、やはりテレビドラマでの活躍だ。特に東芝日曜劇場『女と味噌汁』シリーズでの芸者・てまり役は、彼女のコメディエンヌとしての才能と、人間味あふれる温かさを世に知らしめた。
そして、多くの人が彼女の代表作として挙げるのが『渡る世間は鬼ばかり』の長女・弥生役だろう。
しかし、この国民的ホームドラマで見せた「お母さん」「お姉さん」としての落ち着いた演技は、若い頃からの多様な役柄の積み重ねがあってこそ成立したものだ。若き日の彼女は、もっと尖り、もっと揺れ動き、もっと情熱的に役柄と格闘していた。その葛藤の歴史が、後年の深みのある演技へと昇華していったのである。