両者を比較する上で、何よりも把握すべきは公的施設と民間施設の違いです。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設であり、自力での在宅生活が困難な高齢者を支える「福祉のセーフティネット」として位置づけられています。利益の追求ではなく社会福祉を主目的にしているため、利用料が法的に抑制されている点が最大の特徴です。
これに対し、一般に有料老人ホームと呼ばれる施設は民間企業や法人が運営しており、その主流を占めるのが介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)です。民間ならではの経営努力によって、居室の広さ、食事のクオリティ、レクリエーションの多彩さ、手厚い人員配置など、利用者のニーズや経済力に応じた多種多様なサービスを提供しています。つまり、特養が「生活を支える最低限の保障」であるのに対し、有料老人ホームは「希望する生活環境や安心を買う民間サービス」という決定的な立ち位置の違いがあります。
なお、公的施設を検討する際には特養と老健の比較も欠かせません。同じ公的施設でも、老健(介護老人保健施設)は病院と自宅の中間に位置し、理学療法士らによるリハビリを通じて「3〜6ヶ月程度で在宅復帰すること」を目的としています。原則として終身で生活を送り続ける特養とは、入所目的も滞在期間の前提も根本から異なります。