歴史フィールドワークの現場において、時折見聞きされる目撃談がある。地方の古寺や旧家、あるいは古色蒼然とした史料館を訪れる磯田氏の傍らに、静かに寄り添い、資料の運搬や手配をさりげなくサポートする女性の存在だ。
彼女は決して表舞台に出しゃばることはない。カメラが回ればすっとフレームの外へと身を引く。スポットライトを浴びる夫の影となり、彼が歴史の深淵へと潜り込むための命綱を握り続ける姿は、まさにプロフェッショナルの仕事そのものだ。取材現場のスタッフからも、その気配りと状況判断の的確さに感嘆の声が漏れることがあるという。