アウトドアジャケットやダウンベスト、ナイロン製のウインドブレーカーに付いたワッペンを剥がす際、アイロンを直当てするのは自殺行為だ。化繊は120度前後の低温でも一瞬で溶け、修復不能の穴が空いてしまう。
こうしたデリケートなハイテク素材には、ヘアドライヤーの温風が最も安全な武器になる。吹き出し口を5〜10センチほど離し、ワッペンの周囲を円を描くように温める。温度の上がりすぎを防ぐため、もう片方の手を生地の裏に添え、自分の手肌で温度の限界(「熱いけれど火傷はしない」程度)をモニタリングするのがプロの知恵だ。
接着剤が緩んだら、滑り止めのついたゴム手袋をはめて少しずつ指先で押し出すようにスライドさせる。道具を使わず摩擦だけでずらすことで、薄いナイロン生地へのピンホール(微小な穴)発生をゼロに抑えられる。