物産コーナーへ足を踏み入れると、今度は甘い果実の芳香に包まれる。紀の川市といえば、日本屈指の果樹地帯だ。春先から初夏にかけてはジューシーな柑橘類やイチゴ、そして夏が近づけば桃、秋にはイチジクや柿と、季節ごとに棚の主役が目まぐるしく入れ替わる。
並べられている果物は、朝早くに近隣の生産者が自ら運び込んできたものばかり。どれも肌が張り裂けんばかりに瑞々しい。都市部の高級果実店なら桐箱に収められて数千円の値がつきそうな完熟品が、驚くほど無造作に、そして良心的な価格で手に入る。常連と思しき買い物客が、カゴいっぱいに八朔(はっさく)や加工用のジャム用果実を詰め込んでいく姿は、この場所が地域の台所として強烈に機能している証拠だ。