実際にFD3Sを購入し、数年以内に手放す決断を下した元オーナーたちの証言を検証すると、経済的な困窮だけでなく、ある共通した「精神的消耗」が浮き彫りになってきます。
かつて4型タイプRBを3年間所有した30代男性は、専門誌の取材に対して次のように語っています。
「アクセルを踏み込んだときのロータリーサウンドと加速感は、一生忘れられないほど最高でした。でも、乗っていない平日も『次はどこが壊れるんだろう』『もし今月エアコンが死んだら20万飛ぶな』と、常に頭の片隅で出費の恐怖が付きまとっていました。遠出するのも怖くなり、近所のコンビニに行くのすら暖機運転の手間を考えて億劫になる。最後は車検の見積もりで60万円と言われ、心が折れて売却しました」
掲示板やSNSの投稿を分析すると、手放す理由の根底には行動経済学でいう「サンクコスト効果(埋没費用への執着)」の限界が見て取れます。最初のうちは「せっかく100万円かけてタービンを直したのだから、絶対に乗り続ける」と自分を納得させます。しかし、冷却系、パワステ、サスペンション、エアコンと、次から次へと修理の連鎖が止まらなくなります。
修理代の総額が車両購入額を超えた瞬間、ふと我に返り、「自分は走る楽しみのためにお金を使っているのか、それとも車を壊さないために修理代を払い続けているのか」というアイデンティティの崩壊に直面するのです。この「維持疲労」こそが、ネット上で「RX-7はやめとけ」と警告される心理的真相です。