手根管症候群を早期に鎮静化させるためには、「何をするか」と同じくらい「何をしてはいけないか」を徹底することが決定打となります。日常生活の中に潜む、手根管内圧を跳ね上げるNG習慣を把握しなければなりません。
手根管症候群においてやってはいけないことの代表格は以下の4点です。
1. 手首の手のひら側を強く揉む・叩く行為:前述の通り、肥厚した靭帯の下でただでさえ窒息状態にある正中神経を外力で押し潰すことになり、神経浮腫(むくみ)を劇的に悪化させます。
2. 手首を強く屈曲・背屈させた姿勢の長時間維持:スマートフォンを片手で保持したまま手首を反らせる姿勢、あるいは就寝時に胸の前で手を強く丸め込む姿勢は手根管内圧を最大化させます。キーボード操作時のパームレスト不使用も手首の過度な背屈を招きます。
3. 握力トレーニングや過度なハンドグリップ運動:「指に力が入らないから」とハンドグリッパーを握り込んだりボールを強く握り締めたりする人がいますが、これは指の屈筋腱を激しく擦り合わせ、滑膜の炎症を爆発的に悪化させる最悪の悪手です。
4. 患部の激しい温熱・長湯(急性期):慢性的な血流不全には適度な保温が有効ですが、ズキズキと脈打つような痛みや熱感がある発症初期に長風呂やカイロで過度に温めると、血管拡張に伴って手根管内の組織が膨張し、神経圧迫を急激に強めてしまいます。