水は氷になるとき、体積が約9%膨張する。物理の基本原理だが、これを侮った代償は小さくない。一般的な飲料用ペットボトルは、常温での密閉や輸送時の軽量化を極限まで追求した薄肉設計だ。満杯のまま冷凍庫へ放り込めば、逃げ場を失った内圧がダイレクトにボトルの脆弱な部分――特に底面の接合部やキャップ周辺――を直撃する。
「底が変形して自立しなくなった」程度で済めばまだいい。問題は、冷凍庫の扉を開けた瞬間や、通学路でアスファルトに落とした拍子の破裂だ。冷えて脆化したプラスチックは衝撃に極めて弱い。ガラス瓶のように粉砕はせずとも、裂け目から氷塊と高圧の液体が飛び散り、周囲の乗客の衣類を汚すだけでなく、顔面や眼球を直撃する事故が国民生活センターに報告されている。