「食べない時間が長いほど健康になる」という言説は、生体構造を単純化しすぎた危険な神話です。一日一食の実践者が直面する医学的な盲点の中で、臨床現場で最も問題視されているのが胆嚢機能の低下と胆石症のリスクです。
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を濃縮して蓄え、胃から十二指腸へ脂肪が送られてきた際に一気に収縮して胆汁を排出します。しかし、20時間以上にわたり脂質が胃を通過しない状態が続くと、胆汁は胆嚢内に長期間滞留し、結晶化・石灰化が進みます。消化器内科の追跡データでも、過度な断食や極端な食事回数制限を数ヶ月以上継続した群において、無症候性胆石の保有率が有意に上昇することが確認されています。
もう一つの深刻な誤解は「1食なら何をどれだけドカ食いしても太らない」という免罪符思考(モラル・ライセンシング)です。23時間耐えた心理的代償として、炭水化物過多のラーメン、白米の大盛り、揚げ物を一気に胃袋へ流し込む行為は、前述した通りインスリンの爆発的過剰分泌を招きます。これは血管内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を急速に早めるだけでなく、食後2時間以降に低血糖発作(ブレインフォグ、激しい眠気、情緒不安定)を引き起こす引き金となります。