能登の風土と現代アートを融合させ、国内外から多くの人々を惹きつけてきた「奥能登国際芸術祭」。総合ディレクターを務める北川フラムは、被災後いち早く現地入りし、傷ついたアート作品の保全と地域文化の再生に奔走した。
アートは傷口を塞ぐ絆創膏ではない。傷口を見つめ、痛みを共有し、そこから生きる力を引き出すための対話装置だ。北川が主導するプロジェクトでは、被災した建造物や記憶の残滓を取り込んだ新たなサイトスペシフィック・アートの制作が進められている。アートツーリズム・地域文化の再編は、単に観光客を呼び戻すためだけのものではない。外からの眼差しと風を取り込むことで、疲弊した地域社会に自らの文化の豊かさを再認識させる触媒となっているのだ。