耳垢が湿るか乾くか。この違いを決めているのは、たった一つの遺伝子です。科学界では広く知られている「ABCC11」と呼ばれる遺伝子が、その運命を左右しています。
この遺伝子の特定の塩基配列が「G(グアニン)」である場合、アポクリン汗腺という汗を出す器官が活性化し、耳垢が湿ります。逆に「A(アデニン)」に変異していると、アポクリン汗腺の発達が抑えられ、耳垢はカサカサに乾燥します。東アジア人は世界的に見てもこの「A」の変異を持つ割合が極めて高く、日本人の大多数が乾燥タイプなのはこのためです。一方で、欧米やアフリカでは9割以上の人が湿った耳垢を持っています。つまり、湿っていることは決して異常ではなく、世界基準で見ればむしろ「普通」の体質なのです。