ボーカル井口理の歌声は、時にガラス細工のような繊細さを見せ、時に叫びのような切なさを帯びる。「カメレオン」における彼のボーカルアプローチは、まさに一人の人間のグラデーションのような心情変化を声だけで表現し切っている。
裏声と地声の境目を漂うような絶妙なピッチコントロールは、自分を見失いかけた主人公の揺らぎそのものだ。「僕」が「君」に向ける眼差しは、純粋な愛情であると同時に、互いに傷つけ合わなければ生きられない人間関係の切なさを孕んでいる。完璧な歌唱技術があるからこそ、そこに宿る泥臭い感情が生々しく胸を打つ。