利用者の家計を圧迫するにもかかわらず、一体なぜ国や道路会社は割引を取りやめたのでしょうか。その背景には、かつて実施された観光支援策の教訓と、日本の大動脈が抱える構造的課題があります。高速道路の休日割引除外の理由は、大きく分けて2つの交通政策的要因に集約されます。
第1の理由は、繁忙期における激甚な交通渋滞の緩和と事故防止です。かつて「休日上限1000円」に代表される大規模な料金引き下げが行われた際、各地の高速道路では40km〜50kmを超える異常な渋滞が頻発しました。過度な混雑は単なる通過時間の遅延にとどまらず、追突事故の激増、パーキングエリアへの入場待ちによる本線車線塞ぎなど、インフラとしての安全性を著しく損なう結果を招きました。料金割引というインセンティブを取り除くことで、ピーク時の集中を抑え、旅行日程の分散を促す狙いがあります。
第2の理由は、国民生活を支える物流インフラの機能維持です。お盆休み期間中であっても、食料品や日用品、医療品を運ぶ長距離トラックをはじめとする物流ネットワークは24時間稼働を続けています。割引によって一般のマイカーが爆発的に増えると、物流幹線が麻痺し、配送遅延による経済損失が甚大なものとなります。混雑状況に応じて料金に差をつけ、交通量をコントロールする「ロードプライシング(混雑課金・変動料金制)」の思想が、この適用除外措置の根本に根付いています。