純一郎の私生活は、政権での鮮やかな手腕とは裏腹に、深い葛藤に満ちていた。1978年にエスエス製薬創業者一族の令嬢・宮本佳代子氏と結婚し、二男をもうけたものの、1982年に離婚。当時、佳代子氏の腹中には第三子(三男・佳長氏)が宿っていた。
離婚後、長男の孝太郎氏と次男の進次郎氏は純一郎と姉の信子氏の手で育てられ、母の記憶をほとんど持たずに成長した。孝太郎氏は俳優としての道を切り拓き、進次郎氏は父の後継者として政界へ進出。一方で、母のもとで育った三男の佳長氏は、長らく小泉家本家との接触を断たれていた。しかし、純一郎が政界を引退した後の2010年代、進次郎氏らの働きかけによって兄弟3人の再会が実現する。長年の恩讐を越えたこのドラマチックな親子の絆は、冷徹に見える政治家の血脈に流れる「生身の人間味」を物語っている。