夕刻、部屋に運ばれてくる膳を見て、思わず喉が鳴る。並ぶのは、近隣の山で朝採れたばかりの山菜、川魚の塩焼き、そしてじっくりと煮込まれた滋味深い郷土料理だ。高級ホテルのフレンチのような華麗さはない。だが、ひと口運ぶごとに素材が持つ野生の旨味が口いっぱいに広がる。
白米の美味さにも息をのむ。地元農家が清らかな湧き水で育てた米を、かまどで丁寧に炊き上げたものだ。米粒一つひとつが立ち、噛むほどに優しい甘みが広がる。「ごちそう」とは本来こういうものだったはずだ。都会のレストランでは決して味わえない、大地と直結した生命力あふれる夕餉がここにある。