三島由紀夫賞は、新潮社が運営する新潮文芸振興会が主催し、新潮社創業100周年記念事業の一環として1987年に創設されました。第1回発表は1988年に行われ、エンターテインメント作品を対象とする山本周五郎賞と同時に誕生した双子賞としても知られています。
最大の特徴は、その明確な選考基準にあります。公式規定において対象は「文学の前途を拓く気鋭の作品」と定められており、単に完成度が高い小説にとどまらず、従来の文芸の枠組みを揺るがすような野心作、冒険的な試みが強く求められます。
対象ジャンルが小説だけに限定されていない点も大きな特色です。文芸評論、戯曲、詩歌など、言葉の表現領域を拡張する作品であれば広く候補に挙がります。実際に過去には、評論作品である福田和也氏の『日本の家郷』が受賞を果たした事例もあり、純文学のフロンティアを拡張し続ける姿勢が創設以来一貫して保たれています。