甲子園の本大会だけでなく、全国47都道府県で行われる地方大会の全試合が配信されるようになったインパクトは計り知れない。その数、およそ3700試合。かつてはローカル局の夕方ニュースで数十秒取り上げられるだけだった無名校の死闘が、すべてアーカイブとしてデジタル上に残る。
これがスカウト陣や野球関係者の動向を大きく変えた。地方の離島にある高校の隠れた好投手や、強豪校を追い詰めた公立校の巧打者の映像が、瞬時に全国の野球ファンの間で共有される。「甲子園に出場できなかったドラフト候補」の動画が何百万回も再生される現象は、もはや珍しくない。
敗れ去った球児たちのラストイニング、ベンチで流した涙のシーンまでが網羅されたアーカイブは、単なる記録を超えた「高校野球ドキュメンタリー」としての価値を持ち始めている。