福岡市中央区今泉、国体道路から南へと入った路地裏エリアは、感度の高い飲食店が集まる天神屈指のグルメストリートです。その一角で圧倒的な存在感を放つ「もつ鍋一藤 今泉本店」の最大の武器は、一度口にすれば記憶に焼き付く極上味噌スープにあります。
博多のもつ鍋といえば歴史的には醤油ベースが源流とされてきましたが、一藤が確立した白味噌ベースのスープは、その固定観念を根底から塗り替えました。独自配合された数種類の味噌を丹念に仕込み、昆布や鰹の出汁と調和させたスープは、濃厚でありながら後味に嫌なしつこさが残りません。そこにアクセントを加えるのが、香りと旨味が極めて強い青森県田子町産のにんにくです。すりおろしとスライスの両方を巧みに使い分けることで、鍋が煮立つほどに香ばしさと奥行きが増す緻密な設計が施されています。
主役となるもつ肉には、厳選された国産黒毛和牛の小腸のみを使用。熟練の職人が手作業で余分な脂をミリ単位で削ぎ落とし、臭みを一切残さない徹底した下処理を行っています。火が通るにつれてプルプルとしたコラーゲンがスープに溶け出し、噛みしめると上質な脂の甘みが口いっぱいに広がります。この「雑味のないもつ」と「コク深い白味噌スープ」の共鳴こそが、観光客のみならず舌の肥えた博多っ子をも虜にする決定的な要因です。
一方で、その評判の高さゆえに「いつ見ても予約枠が×になっている」「電話が繋がらない」といった声が絶えません。関係者の証言やWeb予約動向を調査すると、一般的な週末や連休前はもちろん、近隣の福岡PayPayドームやマリンメッセ福岡で大型コンサートが開催される日は、1か月以上前から全時間帯の個室が完売する現象が常態化しています。地元のリピーター層に全国からの旅行需要、さらにはインバウンドの回復が重なった結果、今泉本店は今や「突発的な来店では入店が極めて難しいプレミアムシート」と化しているのが実情です。