健康診断や人間ドックで広く用いられている基準値は、検査機関や採用する測定法(日本臨床化学会JSCC勧告法など)によってわずかな差異があるものの、日本人間ドック学会や日本肝臓学会の最新知見に基づき、おおむね統一された臨床判断値が運用されています。肝細胞の健全性を測る上で、まず頭に入れておくべき基本数値を整理しました。
検査結果を見る際、多くの人が見落としがちなのが男女別の基準値の差異です。健診会東京メディカルクリニックなどの健診実績データや各学会の指針が示す通り、ALTの標準域は男性で10〜42 U/L程度であるのに対し、女性は7〜23 U/Lと明確に低く設定されています。これは筋肉量の違いだけでなく、女性ホルモン(エストロゲン)が肝臓の脂質代謝を保護しているためです。
ところが年代別の平均推移を追うと、40代から50代にかけて状況は一変します。男性は30代から40代の働き盛りにデスクワークや暴飲暴食、内臓脂肪型肥満が重なってALTが急上昇するピークを迎えます。一方、女性は閉経を迎える50代以降、エストロゲンの減少とともに肝臓への中性脂肪沈着が急激に進み、男性と同等あるいはそれ以上に数値が悪化するケースが頻発しています。「若い頃はずっとA判定だったから大丈夫」という過信は、40代以降の身体には通用しません。