地元住民に親しまれた箕輪の里温泉が営業を終了した背景には、複数の経営的・設備的要因が複雑に絡み合っています。関係者への取材や温浴業界の動向から見えてくる最大の要因は、「源泉汲み上げポンプおよび機械設備の老朽化」と「エネルギーコストの記録的高騰」です。
箕輪の里温泉は、地下1,030メートルという深層から毎分豊富な天然温泉を自力で汲み上げていました。開館から数十年が経過するなかで、地下設備や配管、熱交換器の経年劣化が深刻化していました。一般に深層温泉の動力ポンプ更新やスケール(湯垢・鉱物結晶)除去工事には数千万円単位の巨額投資が必要とされます。これに加え、昨今の国際情勢を受けた重油や都市ガス、電気料金の急激な値上げが追い打ちをかけました。
同館は大人入浴料を銭湯並みの価格帯(410円〜600円前後)に設定しており、日常使いの庶民派温泉として愛されていました。しかし、この低料金設定が裏目に出て、設備の大規模修繕に見合う十分な内部留保を確保できない構造に陥っていたのが実情です。東大阪市周辺でもスーパー銭湯の閉館や街の銭湯の廃業が相次ぐ中、採算ラインを大きく下回る状況が続き、やむなく営業終了の決断が下されました。