横浜、長崎と並ぶ日本三大中華街の一つ、南京町中華街。メイン通りの屋台で売られる豚まんや小籠包の湯気に目を奪われがちだが、本当の熱気は路地裏の雑居ビルや半地下の扉の奥に潜んでいる。広東料理の伝統に忠実な海鮮蒸しや、台湾人店主が手掛ける八角香るルーローハン、あるいは透き通ったスープに極細麺が泳ぐ広東式雲呑麺。ここには観光化の波に呑まれない確固たる本場の息吹がある。
現代の食探しにおいて、食べログの点数やGoogle マップの星の数だけを鵜呑みにするのは賢明とは言えない。地元客が昼間から中国語と関西弁を交わしながら紹興酒を傾けている店こそ、選ぶべき正解だ。調味料の配合から乾物の戻し方に至るまで一切の妥協を排した料理は、大陸の力強さと港町神戸の洗練が同居した唯一無二の味わいを放つ。